「吊り橋効果」って何?その効果や活用法を考察

こんにちは。コミュテラスの西垣です。

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  • 大手・中小・外資系企業で人事歴20年
  • 5つのコミュニケーション資格を所持
  • 現在はコーチ・コンサルタント業に従事

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今日は「吊り橋効果」をテーマに
お話してみようと思います。

「吊り橋効果」は
恋愛の心理学でとても有名な理論なので、

話を聞いたことがあるという方は
多いと思いますが、

具体的にどのような実験によって
導き出された理論なのかご存知の方は
意外と少ないと思われます。

そこで、このページでは、

  • 「吊り橋効果」とは
    どのような実験によって導き出された
    理論なのか?
  • 実際の恋愛で
    どのように活用できるのか?

について
説明してみようと思います。

さっそく見ていきましょう。

吊り橋効果とは何か?

吊り橋効果とは、

「人は不安や恐怖を感じている時に
出会った異性に対して、
恋愛感情を持ちやすくなる」

という心理効果のことを言います。

これは、カナダの社会心理学者である
ダットンとアロンによって
1974年に発表された学説によるもので、

バンクーバーのキャピラノ渓谷の
大吊り橋の上で行われた実験によって
実証されたため、

「吊り橋効果」「吊り橋理論」などと
呼ばれています。

どのような実験だったかというと、

①高さ70メートルの吊り橋の中央に
実験者の女子学生が待っていて、

そこへ、実験のために集められた
事情を知らない18歳~35歳の独身男性に
吊り橋を渡ってもらいます。

②吊り橋の中央で、
女子学生が男性に対して

「自然景観と創造性の関係について、
心理学のゼミで研究しているので
協力していただけませんか?」

と話しかけ、
絵を見せて物語を作ってもらいます。

③最後に女子大生が

「今は時間がないので詳細は話せませんが、
もしこの研究に興味があれば説明しますので
都合の良い時にお電話ください」

と電話番号が書かれたメモを渡す。

そして、同様の実験を同じ女子学生で
木の固定橋でも行い、

「吊り橋」と「揺れない固定橋」とで
電話をかけてきた男性の数に差が出るかを
実験したというものです。

その結果、
「吊り橋」の方の実験では、
18人中9人が電話をかけてきたのに対し、

「固定橋」の方の実験では、
16人中2人しか
電話をかけて来ませんでした。

こうした結果から、

吊り橋を渡ることで生じた緊張感が
その女性への恋愛感情と誤認され、
結果として電話がかかってきやすくなった

と推論されています。

つまり、ゆらゆらと揺れる吊り橋の上で
男性はスリルを感じて
ドキドキした興奮状態にあるわけですが、

そうしたドキドキした心理状態の中で
若い女性が現れたことで

このドキドキする心理状態は
その女性への恋愛感情によるものだと
脳が勘違いして、恋心が生じたために

電話をかけてきた男性が多かったと
考えられるいうわけです。

こうした吊り橋によって感じる
恐怖や不安のドキドキを
相手への恋心だと脳が誤認してしまうことを
心理学の用語で「錯誤帰属」と言います。

そして一方、安定した固定橋では
男性はドキドキするような興奮状態に
ありませんので、

若い女性が現れても
脳が恋愛感情と勘違いするような
錯誤帰属が起こらず、

電話をかけてきた男性が少なかったと
考えられるというわけです。

ちなみに、同じ吊り橋の実験を
男性の実験者でも行ったところ、
電話をしてくる男性は少なかったそうです。

吊り橋効果の活用法

このように、
人は不安定な吊り橋を歩くといった
外的な要因で興奮しているのにも関わらず、

それを恋愛感情で興奮していると
脳が勘違いしてしまうことがあります。

ですので、不安や恐怖、緊張、
スリルなどでドキドキしている時に
異性と一緒にいると、

その人に恋心を抱いてドキドキしていると
脳が思い込んで、
恋に落ちやすくなります。

実際、私の知り合いでも
東日本大震災の時にエレベーターの中に
閉じ込められて、

その時にたまたま同乗していた人と
恋に落ちて結婚した人がいます。

最初に感じたドキドキは
エレベーターに閉じ込められたことによる
不安感だったかもしれませんが、

そのドキドキが恋愛感情と混同されて
やがて本物の恋心になっていったのだと
思われます。

そもそも恋愛感情とは
脳の錯覚や思い込みによるものですから、

こうした脳の働きを
恋愛のテクニックとして利用しない手は
ありませんよね。

もちろん、意図的に災害に遭遇したり、
わざと危険な目に遭ったりして
不安や恐怖を感じるわけにはいきませんが、

目当ての異性と一緒にいる時に
ドキドキするシチュエーションを作ることは
普段の生活の中でも可能です。

たとえば、
遊園地に行ってお化け屋敷に入ったり、
ジェットコースターに乗ったり、

映画館に行って
ハラハラドキドキする映画を観たりするのは
デートの定番ですが、

こうしたデートは、吊り橋効果の点でも
理に適っていると言えます。

また、一緒にスポーツをするのも
心拍数が上がってドキドキするので
恋愛感情との錯覚が起こりやすいですし、

相手と趣味や好みが合えば、
スポーツ観戦やライブに行ったりするのも
興奮してドキドキするのでおすすめです。

まとめ

こうして見てきました通り、
人は不安や緊張、スリルや恐怖などによって
興奮してドキドキした心理状態になると

そのドキドキした心理状態を
異性に対する恋愛感情だと脳が勘違いして
恋に落ちやすくなる傾向があります。

したがって、目当ての異性と一緒にいる時に
ドキドキして心拍数が上がるような
シチュエーションを作ることができれば、

あなたに対して
その人が恋心を抱いてくれる可能性を
高めることができます。

とはいえ、
吊り橋効果は万能ではありません。

アメリカのメリーランド大学の
グレゴリー・ホワイト教授が行った
同様の吊り橋実験では、

声をかける女性が魅力的でない場合は
逆効果となってしまったという
実験結果もあります。

ですので、吊り橋効果が発揮されるのは
その人が魅力的な人物であることが
前提となっていますから、

あまり過度な期待を抱いたりせず、
あくまでも補助的に
利用するようにしましょう。

以上、ご参考にしていただけると幸いです。