行動心理学とは何か?活用の仕方や注意点を考察

こんにちは。コミュテラスの西垣です。

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  • 大手・中小・外資系企業で人事歴20年
  • 5つのコミュニケーション資格を所持
  • 現在はコーチ・コンサルタント業に従事

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私たち人間は言葉を使って
他人とコミュニケーションを取りますが、

「本音と建前」という言葉があるように
本心とは裏腹なことを言ったり、
嘘をついたりすることってありますよね。

たとえば、最近子供が生まれた友人から
赤ちゃんの写真を見せられたら、

あまり可愛く見えなかったとしても
大抵の人は「かわいい!」と
お世辞を言うのではないでしょうか?

しかし、いくら会話の上では
本音を隠すことができたつもりでも、

あなたの本心は
しぐさや態度の中に表れていて
相手にバレてしまっているかもしれません。

なぜなら、人間の本心は
顔の表情や姿勢、手足の動きなどの
何気ないしぐさに表れていて、

そういったしぐさには
多くの人に共通する一般的傾向があることが
行動心理学の研究によって
明らかになっているからです。

しぐさや態度に本心が表れていると聞くと
ちょっと怖い気もしますが、

行動心理学の知識を上手く活用すれば
相手のしぐさから本心を読んだり、
気持ちを理解しやすくなるわけですから

他人と円滑なコミュニケーションを取って
良好な人間関係を築いていくのに
役立ちそうですよね。

そこで、このページでは
「行動心理学とは何か?」をテーマに、

その学問的な成り立ちや特徴、
活用方法や注意すべき点などについて
分かりやすく説明していこうと思います。

一緒に見ていきましょう。

科学的な研究に基づいた心理学

行動心理学とは、人間の行動に着目し、
人の心を科学的実験によって
明らかにしようとする学問です。

もともと心理学は
感情などの目に見えない曖昧な事象について
様々な解釈を後付けするやり方で
研究してきた経緯があるため、

多くの学者から
「実験的な証明ができず客観性に乏しい」
という批判を受けることも多く、

科学的な学問として認められにくい側面が
ありました。

そこで、人の心を科学的に解明するために
人間の行動に注目し、実験によって
理論を導き出す行動心理学が誕生しました。

したがって、行動心理学では

①仮説を立てて、
②実験を行い、
③その結果を検証する

という科学的なプロセスに基づいて
人の心を研究します。

たとえば、
「額を触るのは、嘘をついている証し」
という仮説を立てたとすると、

大人数を対象とした行動観察を行って
実際に嘘をついている時のしぐさを調査し、

嘘をつくことと額を触るしぐさに
本当に関連が認められるのかどうかを
検証するというわけです。

具体的な実験方法は
上記のような行動観察以外にも

数百~数千人を対象にしたアンケートなど
検証する内容や研究予算などによって
いろいろな手法が使われたりしますが、

個人を対象にするのではなく、
大人数を対象とした実験・検証を行って

大多数の人に該当する人間の一般的な
心理的傾向や特性を解明するという点が
行動心理学という学問の特徴と言えます。

しぐさの解釈は絶対に正しい?

このように行動心理学は
大多数の人に該当する人間の一般的な
心理的傾向を解明する学問なので、

人のしぐさから心を読み取るための
ヒントを与えてくれます。

たとえば、先ほど例に挙げた
「額を触るのは、嘘をついている証し」
という説は

大多数の人に当てはまる一般的傾向として
実証されていますので、

会話をしている最中に
相手がしきりに額に手を触れるしぐさを
見せるようになったら

「この人は嘘をついているかも」と思って
発言に矛盾がないか注意して聞くなどの
対応を取ることができたりします。

けれども、いくら会話の最中に
相手がやたらと額を触っていたとしても、

それでその人が絶対に嘘をついていると
断定できるわけではありません。

行動心理学は、あくまで人間の一般的な
心理傾向を明らかにする学問ですので、
個々の人間の個人差には対応できません。

人間には誰しも癖がありますから
たまたま相手が額を触る癖を持つ人だった
という場合もありますし、

ただ単に額が痒くて掻いているだけだった
ということも考えられますので、

しきりに額を触っているからと言って
その人が必ず嘘をついていると
言えるわけではありません。

このように人間のしぐさには
心理学的な現象と関係なく表れるものも
あります。

ですので、しぐさを解釈して
相手の本心を読み取ろうとする際には

「絶対に〇〇だ!」と
決めつけて考えるのではなく、

「〇〇かもしれない」と
あくまで可能性を示すヒントとして
捉えることが大切です。

とはいえ、これは口で言うほど
簡単なことではなかったりします。

なぜかと言うと、私たち人間には
自分の見たいようにモノを見てしまう
傾向があるからです。

たとえば、会話の相手の風貌を見て
「なんか怪しいヤツだな」と感じている時に

もし相手が額を触るしぐさをしたら
「コイツは嘘をついているに違いない」と
多くの人は思ってしまうと思います。

そして、一度そう思ってしまうと、
疑心暗鬼になって相手の怪しい行動ばかりが
目につくようになってしまいますから、

たまたま相手がドライアイで
まばたきの回数が増えていたとしても

それを嘘を示すしぐさだと捉えて
「ああ、やっぱりコイツは嘘つきだ!」と
決めつけてしまうことになります。

ですので、行動心理学の研究結果を使って
しぐさから心を読み取ろうとする際は

自分の認知や判断には
「自分が見たいようにモノを見る」という
バイアスがかかっていることを意識し、

「このしぐさをしているということは
〇〇の可能性があるけれど、
もしかしたら間違っているかもしれない」

というようなスタンスで
冷静に考える姿勢がとても重要です。

読み取った解釈は相手に伝えない

また、しぐさから読み取った解釈は
相手には伝えないようにしましょう。

どうしてかと言うと、
もし間違った解釈をしていた場合、
それを相手に伝えてしまうと

相手から
「トンチンカンなことを言う人」とか
「変な言いがかりをつけてくる人」と
思われてしまうことになりますし、

仮に正しい解釈ができて
相手の本心を読み取れていたとしても
それを相手に伝えてしまうと

相手は自分の心を
見透かされた気持ちになって
あなたのことを警戒するようになりますので

いずれにしても相手と良い人間関係が
築けなくなってしまいます。

ですので、
相手のしぐさから読み取った解釈は

あくまでも自分が相手に対して
どう接したら良いかを判断するための
ヒントとしてのみ活用するようにし、

それをそのまま相手に伝えるのは
やめておくようにしましょう。

 

以上、行動心理学の成り立ちや特徴、
活用の仕方や注意すべき点などについて
解説してまいりました。

具体的なしぐさの解釈については
人の心を読む方法」のカテゴリーページに
記事をまとめていますので、
ご興味をお持ちの方はぜひご覧ください。