相手との心の距離はどうやって測れば良いか?

こんにちは。コミュテラスの西垣です。

この記事を書いている西垣の略歴
  • 大手・中小・外資系企業で人事歴20年
  • 5つのコミュニケーション資格を所持
  • 現在はコーチ・コンサルタント業に従事

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自分のことを相手がどう思っているのか
気になることってありますよね。

相手が自分に対して
好意的な印象を持ってくれているのか
そうでないのかが分かれば、

たとえば、営業の仕事なら、
商談の話など込み入った話を
いつ切り出したら良いかタイミングを
見極める材料になりますし、

恋愛関係だったら、
積極的にアプローチすべきか
しばらく様子を見た方が良いのかを
判断するのに役立ったりすると思います。

人間は、快感情を抱いている人とは
コミュニケーションを取ろうとするので
人間関係が築きやすくなります。

その一方、不快感情を抱いている人とは
コミュニケーションを取ろうとしませんし、

そういった不快感情を
相手に持たれていることに気づかず
無理にコミュニケーションを取ろうとすると

不快感情がエスカレートして
イライラや怒りに変わってしまい、
人間関係が築けなくなってしまいます。

ですので、
相手と豊かな人間関係を築くためには

その人が自分に対して
どのような感情を持っているのかを
見極めることが肝心で、

その人と自分との「心の距離」を
冷静に測れることが重要になります。

けれども、快感情はともかくとして、
相手に対して面と向かって
不快感情を表す人は多くありません。

そのため、相手の不快感情に気づかないまま
自分の思いを伝えすぎてしまって

気まずい関係になってしまったり、
トラブルになってしまうようなケースも
少なくないようです。

そこで、このページでは
相手との「心の距離の測り方」について
考えてみようと思います。

さっそく見ていきましょう。

心の距離=体の距離?

自分と相手との心の距離を測ることが
大切と言われても、

人が心の中で抱いている感情なんて
そう簡単に分かるものではないですよね。

たとえ相手が心の中で
不快感情を抱いていたとしても、

そういったネガティブな感情は
余程のことがない限り

愛想笑いや社交辞令の言葉などで
カモフラージュされるので
本心を読み取るのは難しかったりします。

そこで、おすすめなのは
自分の体と相手の体との「物理的な距離」で
「心の距離」を測る方法です。

人間は、好きなものには近づこうとし、
嫌いなものからは距離を置こうとする習性を
持っています。

そのため、快・不快の感情を読み取るには、
人と人との距離が有用な指標となります。

たとえば、喫茶店などで男女が
テーブルを挟んで座って会話をしている時、

お互いが引き寄せられるように
テーブル越しに前かがみになって
体を近づけるようにして話をしていれば

そのカップルは仲が良く
親密な関係であることが分かりますが、

お互いの姿勢が反り返っていて
二人の体の距離が離れている場合は

ケンカや言い争いなどをしていて
双方ともに不快感情を抱いていることが
分かります。

そして、片方がのけ反るような姿勢で
背もたれに体を預けているのに対して、

もう片方が少しでも相手に近づこうと
テーブルに身を乗り出すように
前のめりになって話している場合は、

近づこうとしている側が
相手から不快感情を持たれていることに
気づいていない様子が窺えます。

このように人間が心の中で抱いている
快感情や不快感情は

いくら言葉や表情で繕っても、
体が引けていたり、後ずさりするなど
「体の距離」に表れやすいので、

相手との「心の距離」を測る際の
重要なバロメーターになります。

パーソナルスペースで心の距離を測る

では、具体的にはどうやって
「体の距離」から「心の距離」を
測れば良いのでしょうか?

そのためには、
「パーソナルスペース」を活用すると
相手との心の距離を把握しやすくなります。

パーソナルスペースとは、
他人が自分に近づくことを許せる範囲の
境界を指す言葉で、

他人がこの境界線よりも内側の空間に
入ってくると、人は不快を感じたり、
落ち着かない気持ちになります。

たとえば、電車の中で
他の席がたくさん空いているのに

わざわざ自分の真横に座ってくる人がいたら
イヤな気分になったりしますよね。

このように、人間は他者との間に
常にある程度の距離を保つのが当然という
意識を持っているので、

他人が自分のパーソナルスペースの中に
入ってきたりすると、

「この人、距離が近いな」と不快に感じて
一つ隣の席に移動したりして
その人と距離を取ろうとするわけです。

パーソナルスペースの感じ方には
もちろん個人差がありますが、

接する相手との関係性や親密度によって
その広さの範囲が変わってきます。

アメリカの文化人類学者
エドワード・T・ホールは、

人のパーソナルスペースを
相手との関係性によって
以下の4つのゾーンに分類しています。

密接距離:0cm~45cm

手を伸ばさなくてもボディータッチが
できる距離で、顔がとても近い位置にあり、
キスやハグが容易にできます。

家族や恋人など、非常に親密な人だけが
この距離に入ることが許され、
それ以外の人がこの距離に入ってくると
ハッキリと不快に感じます。

個体距離:45cm~120cm

お互いが手を伸ばせば相手に届く距離で、
友人など親しい関係の人であれば
この距離まで入っても不快になりません。

レストランやカフェで
テーブル越しに話すくらいの距離で、
お互いの表情を十分に読み取ることが
できます。

社会距離:120cm~360cm

知らない人同士が会話をしたり、
公式な面談や業務上で上司と接する時に
取られる距離です。

大きな机越しに行われる商談の距離で、
お互いの声は十分に届きますが
手を伸ばしても相手に触れることができない
安心感を感じられる距離です。

公衆距離:360cm以上

講演会などの場で
話す側(講演者)と聞く側(聴衆)の間に
用いられる距離です。

また、一般の人が社会的要職にある人物と
正式な場で面会するような場合に取られる
畏まった距離でもあります。

 

このように、人のパーソナルスペースは
相手との関係性や親密度によって
その範囲の境界が変わってくるので、

自分が相手から
どう思われているかを知るためには

その人との距離を徐々に縮めていって
どこまで近づくことが許されるかを
確認することで把握することができます。

たとえば、最初は2mくらいの距離から
相手の反応を見ながら
少しずつ距離を詰めていき、

もし相手の1m以内に
自然に入ることができるようであれば

「個体距離」に入っても
不快に思われていないということに
なりますので、

相手はあなたのことを
「親しい間柄の人」と認識していることが
分かるといった感じです。

この時のポイントは
少しずつ自然にさりげなく近づくことです。

そして、距離を縮めている最中に
相手が少しでも拒否反応を示したら
それ以上は近づかないようにしましょう。

相手が後ろに一歩下がったり、
体を後ろに反らしたり、腕を組んだりしたら
拒否反応と思って間違いないです。

また、座っている状態なら、
相手が足の向きを自分と反対の方に向けたり
体をずらして座り直したりするのも
拒否のサインである可能性が高いので、

このような反応が見られたら
それ以上近づくのは止めておきましょう。

心の距離を測るテクニック

最後に、自然にさりげなく
相手との心の距離を測るテクニックを
4つご紹介しておきます。

相手にスマホの画面を見せる

ペットの写真など何でも良いのですが、
相手が興味を持ちそうな画像を
あらかじめスマホに保存しておいて、

「これ見てくださいよ!」などと
スマホの画面を見せれば
相手が自分に近づいてきてくれます。

その画像を見た後に、
相手があなたからどのくらい離れるかで
その人との心の距離を測ることができます。

名刺交換した後の反応を見る

ビジネスなどで名刺交換をする際は
相手に近づくことになりますが、

名刺を手渡した後も
自分から後ろに下がったりせず
そのまま相手との近い距離を保ち続けます。

そしてその後に、
相手が近い距離のまま話し始めるのか、
後ろに下がって話し始めるのかを見ることで

相手が自分に対してどのような感情を
持っているかを把握することができます。

先に座って相手の座る位置を見る

公園のベンチでも居酒屋の席でも
どんな場面でも良いのですが、

まず自分が先に座って、
その後で相手がどこに座るかを見ます。

その人が自分のすぐそばに座るか、
少し距離を置いて座るかで

相手が自分に対して
どのくらい心を開いてくれているかを
判断することができます。

モノを置いて試す

パーソナルスペースは
身体だけでなくモノに対しても働きます。

たとえば、バーやレストランで
自分の飲んでいるグラスを
わざと相手のグラスの近くに置いてみます。

そして、相手が飲み物を飲んだ後、
グラスを元あった位置に戻すのか
あなたのグラスから離れた位置に置くかで

相手があなたに対して抱いている
親密度を測ることができます。

ただし、これはグラステクニックと呼ばれ
恋愛の心理テクニックとしては
わりと有名なものですので、

お試しになる際は
くれぐれも相手に気づかれないように
さりげなくやるようにしてください。

 

以上、「心の距離の測り方」について
いろいろと考察してまいりました。

豊かな人間関係を築くための
参考にしていただければ幸いです。