人の気持ちがわからない人が多いのはなぜ?

こんにちは。コミュテラスの西垣です。

この記事を書いている西垣の略歴
  • 大手・中小・外資系企業で人事歴20年
  • 5つのコミュニケーション資格を所持
  • 現在はコーチ・コンサルタント業に従事

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このページでは、

人の気持ちがわからない人が
多いのはなぜか?

というテーマについて
お話ししていこうと思います。

相手がどう思っているかを考えることは
対人コミュニケーションの基本ですが、

最近は他人の気持ちがわからず、
上手く人間関係を築くことができない人が
増えていると言われています。

実際、あなたの身の回りにも、
人の気持ちが分からない方がいて
困っていたりするのではないでしょうか?

あるいは、もしかしたらあなた自身が
他人の気持ちが分からなくて
苦労されていらっしゃるかもしれません。

その原因や解決方法について
一緒に見ていきましょう。

4~5歳頃から相手の心を理解しはじめる

人の気持ちを理解するためには
相手の立場に立って考えようとすることが
何より大切です。

つまり、相手の心の状態を推測して
理解しようとするわけですが、

これは「心の理論」と呼ばれ、
他の動物には無い
人間に特有の能力とされています。

「理論」と言うと
何だか難しそうな話に聞こえますが、
実はとても簡単な話で

たとえば、いつも挨拶をする人が
今日はなぜか挨拶をせず
無視して通りすぎていったとしたら、

「急いでいるのかな?」とか
「怒っているのかな?」などと

その人の心の中を推測して
挨拶をせずに通りすぎていった理由を
考えたりしますよね。

このように、
他人にも心が宿っていると考えて、

その心の働きに基づいて
他者の行動を説明したり予測したりする
能力のことを心の理論と言います。

この能力は生まれながらにして
持っているわけではなく
人間が成長していく過程で獲得するもので、

大体4~5歳頃から
相手の心情を理解する能力を持ちはじめる
と言われています。

※「心の理論」について
もっと詳しくお知りになりたい方は
相手の立場に立って考えるコツ」を
ご覧ください。

人の気持ちがわからない大人が増えている

このように人間は、幼少期の頃から
相手の心情を理解する能力を
持ちはじめるわけですが、

最近ではその能力を成長の過程で
上手く育むことができず、

大人になっても他人の気持ちが
わからない人が増えていて、
社会の様々な場面で問題視されています。

私はこれまで3つの企業の人事部で
20年以上にわたって勤務してきましたが、

相手が困った表情を浮かべていたり、
イヤそうなしぐさをしているのに、
それに気づかず
延々と自分の話をし続けてしまう人や、

あるいは逆に、

いつも下を向いて歩いていて
他の社員と会話をしているところを
ほとんど見かけたことがない人、

また、

思いついたことをすぐに口にし
相手の面子を潰したりして
周りに敵ばかり作ってしまう人など

コミュニケーション能力に
問題を抱えていそうな社員を
何人も見てきました。

もっとも、こういった社員も
決して仕事ができないわけではなく、

仕事の内容によっては
高いパフォーマンスを発揮する人も
少なくありません。

ただし、会社は人の集まりですから、
いくら個別の作業で
高い能力を示せたとしても

周りの社員と上手くやっていけないと
せっかく持っている能力も
十分に活かすことができず、

残念ながら宝の持ち腐れに
なってしまうケースが多かったです。

コミュニケーション能力が育たない3つの要因

では、相手の気持ちがわからず
コミュニケーションをとるのが苦手な人は
どうして増えているのでしょうか?

これには現代社会に特有の
3つの環境要因が影響していると
言われています。

家庭環境の変化

まず一つ目の要因として挙げられるのは
「家庭環境の変化」です。

昔のように三世代の同居など
大人数の家庭が多かった時代は、

子供が学校から帰ってくると
たいてい誰かが家にいて
その日にあった出来事を話したりするなど

いつも家の中に
コミュニケーションをとれる家族が
いるのが普通でした。

けれども、現代では
家庭の核家族化や少子化が進み、
共働き世帯の割合も増えているため

子供が家に帰ってきても
声をかけてくれる家族がいないケースが
多くなっています。

人間は他者との関わりの中で
コミュニケーションの仕方を学んで
いきますから、

こうした家庭の少人数化によって
子供たちがコミュニケーション能力を
養う機会が減ってしまい、

その結果として、
大人になっても対人関係が苦手な人が
増えてしまっていると考えられます。

競争社会

次に二つ目の要因としては、
「競争社会」が挙げられます。

最近は学校の勉強を少しでも先取りして
優秀な成績を取らせるために

小学校の低学年の内から
子供を塾や習い事に通わせる親が
増えています。

そのため、昔に比べて
放課後に友達同士で遊ぶ機会が
だいぶ少なくなってしまっています。

また、低学年から塾に通うことで
子供自身も成績に
執着しすぎるようになり、

周りの友達を「仲間」というより
「ライバル」として見る傾向が
強くなっているようです。

子供は同世代とのやり取りの中で
社会性を養っていきますから、

周りの友達をライバルとしか
見られなくなるような競争社会は

大人になってから必要になる
コミュニケーション能力が育ちにくい
環境と言うことができます。

情報化社会

そして、最後の三つ目の要因としては、
「情報化社会」が挙げられます。

パソコンやスマホ、
インターネットが普及した現代では

我々は知りたい情報を
すぐ手軽に知ることができるように
なりました。

これは一昔前から考えると
まさに画期的なことで
とても便利な世の中になりましたが、

その反面、人と関わる機会が減り
コミュニケーション能力が育ちにくい
一因になっているとされています。

たしかに言われてみると
インターネットが登場する以前は

何かわからないことがあって
知りたいと思ったら

図書館に足を運んで調べるか
そのことを知っている人に聞くくらいしか
方法が無かったので、

大抵の場合は
知っている人に聞いてしまうことが
多かったように思います。

つまり、何かわからないことがあれば、
その度に人と人のやり取りが
発生していたわけです。

そして、そのやり取りの中で

質問する側は
相手に気持ちよく教えてもらうために
いろいろと気を遣ったり

知りたいことを聞き出すために
効果的な質問の仕方を考えたりしますし、

また、教える側も
どう言えば相手に伝わるかを考えて
説明したりと、

質問と回答のやり取り自体が
コミュニケーションスキルを鍛える場に
なっていたのです。

けれども、今の時代は
誰かにわざわざ聞かなくても
スマホで簡単に情報が調べられますし、

仮に質問したいと思ったとしても
「そんなのネットで調べれば分かるよ」
と言われそうで聞くのを躊躇したりと

昔に比べて、
他人に質問したり、教えたりする機会が
大幅に減ってしまっています。

人の気持ちがわからない人が
増えている背景には

こうした情報化社会の発展により
コミュニケーションを学習する機会が
減ってしまっている影響もあると
考えられています。

対人スキルを養うにはどうしたら良いか?

このように、相手の気持ちがわからず
コミュニケーションをとるのが苦手な人が
増えているのは

現代社会に特有の環境要因が
大きく影響していると考えられます。

しかし、だからと言って
社会環境のせいにしていても
何も始まりません。

子供の頃に戻って
一から学び直すことはできないにしても

今からコミュニケーションスキルを
学習して養うことは
できないのでしょうか?

当たり前の話ですが、
コミュニケーション能力を身につけるには
他人と関わる機会を増やすことが大切です。

ですので、今からでも
普段の生活の中で自分から挨拶をしたり、
積極的に話しかけたりして

できるだけ多くの人と接することが
コミュニケーション能力の向上に
繋がります。

とは言え、大人になってから
子供と同じように痛い目に遭ったり、
失敗を経験しながら

試行錯誤を繰り返して
対人スキルを身に付けていくのは
なかなか厳しいものがありますよね。

したがって、大人になってから
コミュニケーション能力を学ぶ場合は、

まずは人間のしぐさや行動から
本心を見抜く方法を知り、

それを実生活の中で試しながら
対人スキルを磨いていくようにするのが
良いと思います。

「コミュテラス」では
しぐさや行動から人の心を読む方法を
数多く紹介していますので、

もしご興味があれば
ぜひそれらの記事をご覧いただき

より良い人間関係づくりに
お役立ていただければと思います。

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