相手の立場で考える力はどうすれば身につけられる?

こんにちは。コミュテラスの西垣です。

この記事を書いている西垣の略歴
  • 大手・中小・外資系企業で人事歴20年
  • 5つのコミュニケーション資格を所持
  • 現在はコーチ・コンサルタント業に従事

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今日は、
「相手の立場に立って考える」
をテーマにお話ししていこうと思います。

仕事でもプライベートでも
他人と良好な人間関係を築いて
物事を上手く進めていくためには

相手の立場に立って考えることが
大切だとよく言われます。

ですが、口で言うのは簡単でも
それを実際にやるのは
なかなか難しかったりしますよね。

そこで、このページでは

相手の立場に立って考える能力を
身につけるにはどうしたら良いか?

について考えてみたいと思います。

一緒に見ていきましょう。

小さな子どもは相手の心を理解できない?

まず、そもそもの話として、
「相手の立場に立って考える」とは
どういうことなのでしょうか?

このことを考えるために
卑近な話で恐縮ですが、
私の息子の話をさせていただこうと
思います。

私の息子がまだ幼稚園の
年中(4歳)だった頃の話ですが、

母の日にカーネーションを買いに
近所のお花屋さんに行ったことが
ありました。

息子は自分のお金(お年玉ですが^^)で
お花を買って母親にプレゼントするのが
初めてだったので

「ママ、きっとビックリするよね」と
とてもワクワクした様子で、

プレゼントを渡すタイミングまで
カーネーションを
お風呂場に隠しておくことにしました。

つまり、あとで
サプライズでお花をプレゼントして
母親を驚かせようと思ったのです。

ところが、あろうことか
息子はお風呂場にお花を隠したその足で
キッチンに歩いて行き、

「ママ、絶対にお風呂場 見ないでね」と
言ってしまったのです。

この手の話は小さな子供に
よくあるエピソードだと思いますが、

当時の息子(4歳)は
サプライズを成功させるために
母親にお花を見られないようにしようと
考えることはできても、

「お風呂場を見ないでね」と言ったら
母親がどう思うかというところまでは
考えが及びませんでした。

つまり、相手にも心があって、
その心の状態を推測しようと考える能力が
まだ無かったのです。

これは「心の理論」と呼ばれ、
相手の立場に立って物事を考えるための
基本となる能力で、

他の動物には無い
人間に特有の能力と言われています。

※チンパンジーなど一部の霊長類も
心の理論を持っているとする説もあります。

心の理論は何歳で持つようになるのか?

この「心の理論」は
人間が生まれつき持っているものではなく、
成長の過程で獲得する能力とされていて

この能力を持っているかどうかは
「心の理論課題」というテストで
診断することができます。

心の理論課題には
以下のようなものがあります。

<マクシ課題>

マクシはチョコレートを
「緑の戸棚」に入れて遊びに出かけました。

マクシがいない間に
母親は「緑の戸棚」からチョコレートを
取り出して「青の戸棚」に入れました。

その後、マクシは遊びから帰ってきました。

マクシはチョコレートがどこにあると
思っているでしょうか?

※正解は「緑の戸棚」です。

<サリーとアン課題>

サリーとアンが
二人で部屋の中で遊んでいます。

サリーはビー玉をバスケットの中に入れて
部屋を出て行きました。

サリーが出て行った後で、
アンはビー玉をバスケットから取り出し、
箱に移しました。

部屋に戻ってきたサリーは
ビー玉で遊ぶために
最初にどこを探すでしょうか?

※正解は「バスケットの中」です。

これらの問題は一般に4~5歳頃になると
正解できるようになりますが、

心の理論の発達が遅れていると
他者が自分と違う見解を持っていることを
想像するのが難しく、

自分が知っている事実をそのまま答えて
間違えてしまいます。

「空気が読めない人」ってどんな人?

上記で紹介したテストは
4~6歳児を対象した課題なので
比較的簡単ですが、

人の社会性の発達に重要な
より高度な心の理論の有無を測る
課題もあります。

たとえば、以下のような課題です。

<社会的失言検出課題>

学校で作文大会があり、
エンマは優勝したいと強く思っていた。

ところが、エンマが学校を休んだ日に
大会の優勝者はアリスであると発表された。

翌日そのことを知らないエンマに対して
アリスは「残念だったね」と言う。

エンマに「どういうこと?」と聞かれて、
アリスは「なんでもない」と答えた。

二人の会話の中で
言うべきでないことを言った人はいたか?

たしかにこの課題は
先ほどの2つに比べると少し難易度が
高いように感じますよね。

こういった
ある種の「気まずさ」みたいなものを
認識できることは、

人間が社会生活を営んでいく上で
とても重要なことです。

この能力が不足していると
「空気が読めない人」と言われて
学校や職場で爪弾きにされたり、

恋愛関係でも相手の気持ちが分からず
上手く行かなかったり、
トラブルを起こしてしまう可能性も
ありますから、

円滑な人間関係を築いて
豊かな人生を送っていくためには

心の理論を養って
相手の立場に立って考えられる能力を
身につけることが大切です。

相手の立場に立って考える力を養う3つの方法

では、相手の立場に立って
物事を考えられる能力を身につけるには
どうしたら良いのでしょうか?

大人になってからでも
身につけることができるのでしょうか?

先述しました通り、
心の理論は4~5歳頃に芽生えはじめ、
その後の成長過程で育まれるものですが、

大人になってからでも
相手の立場に立って考える力を
向上させることは可能です。

そのためには、以下の3つのことを
日頃から意識して心がけるようにすると
良いです。

①相手の話をよく聴く

まず、当たり前の話ですが、

人の話をしっかり聴くことは
相手の考えていることを理解するのに
とても大切なことです。

ですが、これがちゃんと出来る人は
実際にはあまり多くありません。

多くの人は相手が喋っている間、
その人の話している内容を
理解しようとするよりも

次に自分が話すことを
頭の中で考えながら
相手の話を聞いてしまっているからです。

コレって、
結構やってしまいがちですよね。

私も相手の話を聞いている最中に
ふと良い考えが浮かんで
「次、これ言おう」と思ったりすると

その後の話の続きを聞くのが
疎かになってしまうことがあります。

これでは相手の考えていることを
キチンと理解することはできません。

ですので、
相手の立場に立って考えられるように
なるためには

人の話を最後までしっかり聴く習慣を
身につけることが大切です。

尚、当サイトでは現在、
「話の聞き方のコツ」について解説している
マニュアルを期間限定で無料配布中です。

読んで損はない内容になっていますので、
ご興味のある方は、
ぜひこの機会に手にされてみてください。
↓ ↓ ↓
「アクティブリスニングとは何か?」
~積極的傾聴の重要性~

②相手の役割を演じてみる

心理学には「役割交換法」という
自分とは違う立場の考え方に気づくための
方法があります。

この方法は、
自分と相手の役割を交換して
演じてみることによって、

相手がどのように考えるかを
理解することができるというものです。

たとえば、
就職や転職などの面接を受ける前に

知り合いを面接官に見立てて
模擬面接をして練習したりすることが
あると思いますが、

役割交換法では
その模擬面接をした後で立場を入れ替え、

今度は自分が面接官役となり、
知り合いに応募者役になってもらって
面接を行います。

そしてその時に、知り合いには
先ほどの模擬面接で自分が話した内容を
言ってもらうのです。

そうすることによって
面接官の視点から自分自身を見ることが
できるというわけです。

この役割交換法は
上記のような面接試験に限らず、
恋愛などプライベートなシーンでも
使える方法ですが、

相手の役割を演じてくれる人がいないと
できないのが難点です。

たしかに、面接官ならまだしも、
恋愛の相手役を友人に頼んだりするのは
恥ずかしかったりしますよね。

そういう場合は仕方がないので
自分ひとりでセルフでやるしかありません。

何もしないよりは
絶対に効果があります。

ただし、その場合に注意したいのは、
相手の顔を思い浮かべたりしないことです。

相手の顔が見えるということは
それは自分の視点から見ていることに
なってしまいますから、

ちゃんと役割交換ができているとは
言えないからです。

自分ひとりで役割交換法を行う場合は
ぜひその点に注意して

相手の視点から見た自分の姿を
イメージする感じでやってみるように
してください。

③相手の行動を注意深く見る

その他に大切なことは
相手のしぐさや行動を注意深く見る
ことです。

人間の心の中の思いや感情は
しぐさや行動に現れることが
行動心理学によって実証されています。

たとえば、会話の最中に
相手が自分の額や頬に手を当てはじめたり、

組んでいる足のつま先が
突然上の方を向いたりしたら

相手はあなたとの会話に
不快感を抱いている可能性が高いと
言われています。

行動心理学では、このような
人間の心理と行動の関係に着目し、

大人数を対象とした実験を行うことで
多くの人間に当てはまる
様々な心理的傾向を明らかにしています。

ですので、こういった
人間の一般的な行動パターンや
心理的傾向を学んで、

普段から人の行動を
注意深く観察するようにすれば
他人の気持ちが理解しやすくなります。

「コミュテラス」では
しぐさや行動から心を読み取る方法を
たくさん紹介していますので、

相手の立場に立って考えるための
参考にしていただけたらと思います。