こんにちは。コミュテラスの西垣です。
このページでは
「攻撃的な人の心理」をテーマに
お話ししていこうと思います。
人間は集団を作って
周りの人々と助け合いながら生活をする
社会的動物です。
けれども、集団生活ゆえに、
人は時に、周りの人たちに対して
攻撃的な振る舞いをすることがあります。
人はなぜ攻撃行動を行うのでしょうか?
一緒に見ていきましょう。
攻撃行動の種類
一口に「攻撃行動」と言っても、
人間の他人への攻撃の仕方には
いろいろな種類があります。
たとえば、殴る・蹴るなどのような
相手の身体を傷つける
「身体的攻撃」もあれば、
悪口を言ったり、脅したりといった
「言語的攻撃」もあります。
また、攻撃姿勢の面でも、
自分から積極的に攻撃を仕掛ける
「能動的攻撃」もあれば、
相手を無視したり拒絶したりする
「受動的攻撃」もあります。
そして、スタイルの面でも、
相手に対して面と向かって攻撃をする
「直接的攻撃」もあれば、
相手に分からないように攻撃をする
「間接的攻撃」もあります。
どのような種類の攻撃をするかは
その人の性格や気性、
その時の状況によって異なりますが、
一般に男性は女性よりも攻撃的で、
自尊心の強い人ほど
攻撃性が高くなると言われています。
どんな時に攻撃的になるか?
では、人はどのような時に
攻撃行動を起こすのでしょうか?
一般に、攻撃行動は
・他人から攻撃を受けた時
・からかわれたり、バカにされた時
・自分の意見を否定された時
・自分の能力を低く評価された時
に最もよく現れると言われています。
これらの状況に共通しているのは
他人から低く評価されることに
敏感に反応している点です。
他人の目が気になるのはなぜ?で
詳しく説明していますが、
社会的動物である人間は
集団の中に安心できる居場所を求める
「所属欲求」を持っているので、
集団から排除されないよう
周りの人々からの評価を
過剰に気にする心理傾向があります。
したがって、上記のような
自分の評価が低下するような状況に
立たされると
集団内での自分の居場所が
脅かされていると感じ、
それを否定し、抵抗するするために
怒りの感情を発動させて
攻撃的な行動をとるわけです。
よく会社などで自分の部署に
優秀そうな新人が入ってきたりすると
その新人の欠点を見つけて
周りの同僚に吹聴してまわるなど
意地悪な態度をする人がいますが、
これも同じような話で、そういう人は
日頃の自分の仕事ぶりに自信がなく、
社内での自分の居場所を
その新人に奪われるのではないかと
恐怖を感じて、
ついついその新人に対して
攻撃的な行動をとってしまうのです。
攻撃行動の正当化
このように人間は
集団の中での自分の立場や居場所が
失われることに恐怖を感じ、
それを否定したり誤魔化したりするために
攻撃的な行動に出ることが多いです。
ただし、いくらそれが
人間の本能的な心理によるものだとしても
だからと言って、
それで他人を攻撃して良い理由には
なりませんよね。
私たち人間は
他人への攻撃行動を不道徳なものと
みなしますし、
特に現代社会では
なおさらその傾向が強くなっています。
そのため、彼ら(彼女ら)は
自らの攻撃行動が正しいものであると
思い込もうとしたり、
自分の正しさを周囲に示すために
いろんな理由をつけて
自身の行動を正当化しようとします。
たとえば、先ほどの
職場の新人に意地悪をする例では
「あんな非常識な人を放っておくと
他の社員に迷惑がかかる」などと、
勝手な理由をこじつけて
さも正しい行動をしているかのように
振る舞ったりするのです。
攻撃的な人への対処法
では、攻撃的な人には
どのように対処したら良いのでしょうか?
これまで説明してきました通り
攻撃行動は本能的な心理に付き動かされて
行われることが多いですし、
もっともらしい理由をつけて
自分が正しいと思い込んで行われることも
少なくないので、
攻撃的な人を諭して
考えや行動を改めてもらうのは
なかなか大変なことだったりします。
ですので、最も良い対処法は
その人となるべく関わらないようにする
ことです。
攻撃的な人と接する機会を減らせば、
それだけ被害に遭うことも少なくなります。
とはいえ、職場や学校などで
どうしても関わらざるを得ない人も
いらっしゃると思います。
そういう方がまず気をつけるべきことは、
相手が攻撃的になるキッカケを
これ以上作らないことです。
先述した通り
人が攻撃的になりやすいのは
・他人から攻撃を受けた時
・からかわれたり、バカにされた時
・自分の意見を否定された時
・自分の能力を低く評価された時
など、
集団内での自分の評価を下げられたと
感じる時ですから
相手のことを見下したり、
バカにしたりするのはもちろん、
会議などで異なる意見を言う時も
その人の面子を潰さぬよう
配慮して発言することが大切です。
また、それでもなお
しつこく攻撃が続いて困るような場合には
相手に親切にするのも一つの手です。
人間は自分に親切な人には
心理的に攻撃を加えづらくなりますから
優しく親切な対応をすることは
攻撃されるのを防ぐのに
効果的だったりします。
そして、それに加えて
たまに相手を褒めたりすれば、
その人の「承認欲求」を
満たしてあげることになりますので
攻撃される可能性を
さらに減らすことができます。
尚、もしあなたが新人で
職場の先輩社員から意地悪な対応を
されているのなら、
その人はあなたのことを
「自分の居場所を脅かす存在」として
脅威に感じているのかもしれません。
これは非常によくあるケースで、
私は長年の人事業務経験の中で
同じような事例を何件も見てきました。
一般に新人の社員は
職場のメンバーに受け入れられようと
真面目でハキハキとした態度で
一日でも早く仕事を覚えようと
頑張ったりすると思います。
通常、こうした新人の頑張る姿は
周りの人たちに好印象を与えるものですが、
自分の能力や仕事ぶりに自信のない人は
その新人が一生懸命に
仕事に取り組む様子を見れば見るほど
「私の仕事を奪われてしまうのでは」と
不安や恐怖を感じて
その新人を職場から排除しようと
陰口を言ったり、ミスをあげつらったりと
意地悪をしてくることがあります。
ところが、その新人の社員が
だんだん職場に慣れてきて
次第に仕事の手を抜くようになったり、
おっちょこちょいな面を見せたりして
先輩社員のポジションを
脅かす存在でないことが分かると
その先輩社員は急に意地悪するのを止めて
フレンドリーな対応に変わることが
結構あったりします。
このように攻撃的な人は
概して自分に自信がないので、
所属するグループに
自分よりも優れた能力や容姿などを
持っていそうな新人が現れると
自分の地位やポジションが
脅かされるのではないかと不安を感じ
その新人に対して意地悪をしたり、
威圧的な態度をとったりします。
もちろん、だからと言って、
先輩から意地悪されるのを避けるために
わざとやる気のない素振りをするのは
本末転倒になってしまいますので
おすすめしませんが、
周りの人に好印象を与えようと思って
真面目でハキハキとした態度で
仕事をしていることが
一部の自信のない人に対しては
かえって逆効果に働く可能性があることは
少し頭の隅に入れておいても
良いかもしれません。
最後におすすめしたいのは、
所属するグループの中に
味方をたくさん作っておくことです。
攻撃的な人は自分に自信がなく、
集団内で孤立することに
不安や恐怖を感じていますから、
友達が多い人や
周囲からの人望が厚い人に対して
攻撃をすることはまずありません。
そんなことをすれば
逆に自分が孤立させられる危険性が
あるからです。
ですので、
日頃からどんな人にも分け隔てなく
感じよく接して
所属する集団の中での人望を高めて
攻撃されにくい人物になることが
他人からの理不尽な攻撃を避けるのに
最も効果的な方法だったりします。
一朝一夕にできることではありませんが、
ぜひ参考にしていただければと思います。