
こんにちは。人事歴20年の心理カウンセラー、あおいです。
- 同僚に面と向かって、仕事ぶりをけなされる
- 陰で自分の悪口を言われている気がして落ち着かない
- 言われた言葉が、家に帰っても頭から離れない
職場の悪口の多くは、言う人が心の中に抱えている問題の表れです。あなたの価値を決めるものではありません。
大切なのは、言い返したり真に受けたりせず、悪口を「受け取らない」ことです。これまでのカウンセリングで相談者さんにお伝えし、効果があった5つの対処法を紹介します。
- 悪口の中身を、落ち着いて見分ける
- 悪口は「受け取らない」
- 自分の価値は自分で決める
- 物理的にも心理的にも距離をとる
- 一人で抱えず、相談して任せる
※この記事の内容はYouTube動画でも解説しています。
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職場で悪口を言う人がいるのはなぜ?

悪口を言う人は、たいてい心の中に不満や不安を抱えています。よく見られるのは、次のような人です。
- ストレスのはけ口にしている人:仕事の不満やイライラを、人の悪口を言うことで発散している
- 自信のなさを隠している人:劣等感や嫉妬をごまかすために人を下げ、「自分のほうが上だ」と安心したい
- 自分を実際より高く見ている人:たいして仕事ができるわけではないのに自分は優秀だと思い込み、周りを見下している
どのタイプも、悪口は言う人の心の中を映したものです。あなたがどんな人かを表しているわけではありません。面と向かって言われた悪口も、陰で言われている悪口も同じです。
そう分かるだけでも、言われた言葉を真に受けて傷つく必要はないと思えて、心が少し軽くなるはずです。
職場で悪口を言われたときの5つの対処法
悪口を言われたその場で使える方法から、家に帰ってからできること、周りの力を借りる方法まで順に紹介します。
① 悪口の中身を、落ち着いて見分ける
言われた言葉が事実かどうか、直すべき点があるかどうかを考える。
悪口を言われて腹が立ったり、落ち込んだりするのは自然なことです。でも感情にのまれたままでは、適切な対応を選べません。まずは、言われた中身を見分けることから始めましょう。
たとえば同僚に「ほんと仕事が遅いよね」と言われたら、「ほかの人もそう思っているだろうか」と考えてみます。ショックを受けると言葉を事実のように受け止めがちですが、意地悪な同僚一人の感想にすぎないことが多いものです。
見分けた結果は、次のどちらかに分かれるはずです。
- 言い方はきついが、直すべき点もある:その部分だけをフィードバックとして受け取り、自分の成長に役立てる
- ただの中傷で、受け止める価値はない:このあと紹介する方法で、受け取らずにやり過ごす
とはいえ、言われたその場で冷静になるのは簡単ではありません。そんなときは、感情を無理に抑え込まないでください。
「イライラしちゃいけない」と打ち消すのではなく、「自分は今イラッとしているな」と気づくだけで十分です。感情を否定せずに認めると、それだけで冷静に考えやすくなります。
家に帰っても心のざわざわが収まらないときは、そのときの気持ちを日記に書き出すのもおすすめです。文章にすると、気持ちを整理しやすくなります。
② 悪口は「受け取らない」

悪口を言われても言い返さず、「これは相手の問題で、私とは関係ない」と心の中で唱える。
受け止める価値のない悪口は、真に受けないのがいちばんです。先にお伝えしたとおり、悪口は言う人の心の中を映したもので、あなたとは関係がないからです。
とはいえ、自分に向けられた言葉を聞き流すのは難しいものです。そんなときのヒントになる、仏教の経典にあるお話を紹介します。
ある男が、お釈迦様をひどい言葉で罵りました。男が言い終わると、お釈迦様はこう尋ねます。
「あなたの家に客が来て、ごちそうを出したとします。客が手をつけなかったら、そのごちそうは誰のものになりますか」
男が「それは私のものだ」と答えると、お釈迦様は言いました。「同じように、私はあなたの悪口を受け取りません。それはあなたのものです」
罵られて罵り返す人は、出された料理を一緒に食べてしまうのと同じだ、とも説いています。
悪口に悪口で言い返すと、相手が差し出したものを受け取ったことになります。反論したくなる気持ちはぐっとこらえて、悪口は相手の手元に残しておきましょう。
お釈迦様のように、まったく動じずにいるのは難しいかもしれません。それでも「受け取らなければ、この言葉は相手のもの」と思い出すだけで、悪口に振り回されにくくなるはずです。
③ 自分の価値は自分で決める

夜寝る前に「今日はこれができた」「ここを頑張った」と思い出し、自分で自分を認める。
「受け取らなければいいのは分かるけれど、どうしても気になってしまう」という相談者さんもいます。こうした方は真面目で謙虚な一方、自分に自信を持てていないことが多いです。
自信がないと周りの評価が気になりすぎて、人の言葉に振り回されやすくなります。悪口に左右されないためには、評価の基準を自分の内側に持つことが大切です。
そのために、次のことを習慣にしてみてください。
- 一日の終わりに自分を評価する:その日の行動や成果をふり返り、自分で自分を認める
- 小さな目標を達成する:すぐにできそうな目標を立て、やり遂げた満足感を積み重ねる
- 自分を認めてくれる人と過ごす:安心できる人との時間を大切にし、自分の価値を確かめ直す
小さな積み重ねで自分の価値を自分で認められると、悪口を言われても真に受けずに済みます。
悪口を言われるのは、あなたが職場で目立っていて、うまくいっている証拠とも考えられます。「嫉妬されるくらい、自分には価値がある」と受け止めて、聞き流してしまいましょう。
とはいえ悪口が続いていると、自分を認めること自体が難しくなっているかもしれません。一人で気持ちを立て直せないときは、公式LINEから個別にご相談ください。
④ 物理的にも心理的にも距離をとる
悪口を言う人との用件は、できるだけメールで済ませる。話すときは雑談をせず、用件だけにする。
悪口を言う人との関係は、自分で選べます。毎日顔を合わせる相手でも、距離をとって受ける影響を小さくすることはできます。
物理的な距離とは、接する時間を減らすことです。できるなら席を移ったり、同じプロジェクトから外れたりして、直接関わる機会を減らしましょう。接する時間が短いほど、ストレスは軽くなります。
心理的な距離とは、相手の言葉を心に入れないことです。悪口を言われたら、サッとカーテンを引くように言葉をさえぎり、聞こえないふりをしてください。
聞こえないふりをすれば、その場が気まずくなるのを避けられます。思ったような反応が返ってこなければ、相手も悪口を言う張り合いがなくなります。
聞こえないふりが難しいときは、短く返して会話を早めに切り上げます。
- 無難に返すなら:「ご忠告ありがとうございます」
- 自分の意見を伝えたいなら:「そうなんですか。でも私はこう思います」
距離をとることに「逃げているようで後ろめたい」と感じる方もいます。でも距離をとるのは、自分の心を守るための積極的な行動です。
⑤ 一人で抱えず、相談して任せる
悪口のことを、信頼できる人に一度話してみる。つらさが続くなら、上司や人事部に相談する。
悪口を一人で抱え込むと、気持ちはどんどん沈んでいきます。まずは身近な信頼できる人に話してみてください。話を聞いてもらうだけで気持ちが整理され、自分では思いつかなかった解決策が見つかることもあります。
悪口がエスカレートして職場にいるのがつらいときは、上司や人事部に相談しましょう。職場のパワーハラスメントを防ぐ対策をとることは、法律で事業主に義務づけられています。
人格を否定するような侮辱やひどい暴言は、厚生労働省が示すパワーハラスメントの類型「精神的な攻撃」に含まれています。すべての悪口がパワハラに当たるわけではありませんが、一人で我慢し続ける必要はありません。
上司や人事部に話すのをためらう方もいると思います。でも、働きやすい職場を整えるのは上司や人事部の役目です。会社に対応を任せれば悩みをいったん手放せて、気持ちも軽くなります。
相談しても対応が進まないときや、状況が深刻なときは、相手の発言と日時・場所を記録しておきましょう。その記録をもとに、より適切な相談先を探して相談してください。
特に真面目な方ほど「自分にも原因がある」と考えて、一人で我慢してしまいがちです。でも抱え込み続けると、心身の不調につながるおそれがあります。原因が自分にあるかどうかは脇に置いて、頼れる人を頼ってください。
- 悪口を受け取らないお話について:パーリ語の経典『相応部』7.2「Akkosa Sutta(罵り)」(SuttaCentral の英訳。客が手をつけなかったごちそうは出した人のもの、というたとえと、罵り返すことは同じ食事を食べるのと同じ、という説き方)
- 会社のハラスメント防止の義務について:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(職場のパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることは事業主の義務。中小企業も2022年4月1日から義務化)
- パワーハラスメントの類型について:厚生労働省「あかるい職場応援団」の「パワーハラスメント」(6つの類型の一つ「精神的な攻撃」= 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言。業務上必要かつ相当な範囲の適正な指導は該当しない)
まとめ
職場の悪口は、言う人が心の中に抱えている問題の表れです。あなたの価値を決めるものではないので、言い返さずに受け取らないことから始めてみてください。最後に、5つの対処法をふり返ります。
- 悪口の中身を、落ち着いて見分ける
- 悪口は「受け取らない」
- 自分の価値は自分で決める
- 物理的にも心理的にも距離をとる
- 一人で抱えず、相談して任せる
悪口を言われた日は、まず「この言葉は受け取らなくていい」と思い出してください。それだけでも、心のざわざわは少し静まるはずです。



